PRPは多血小板血漿:Platelet-Rich Plasmaの略称で血小板を濃縮させたものです。PRP療法とは血小板の能力を利用し、自然治癒力を活かした治療法です。血小板は傷ついた場所に集まって血を固める働きがあり、その際に多量の成長因子を放出します。この成長因子により組織の修復力を高め、修復を早める効果があります。
この効果を利用して患部の疼痛の軽減や損傷した組織の修復を目的とする治療方法がPRP療法で、“保存療法と手術の中間に位置する新しい選択肢”として注目され始めています。
当院ではPRPは白血球の少ない「Leukocyte-Poor PRP(LP-PRP)」、白血球の多い「Leukocyte-Rich PRP(LR-PRP)」、次世代PRPと呼ばれる「APS」が提供可能です。(LP-PRPは現在準備中で2025年7月頃より開始予定です)。PRPは材料となる細胞や組織・成分によっていつくかの種類が存在します。
価格や成分の違いもあり、どれを選択するのが良いか議論の分かれているところではあります。難治性・慢性の腱炎などには組織のリモデリング効果を期待して白血球の多い「LR-PRP」、若年で受傷したばかりの損傷に対しては「LP-PRP」、変形性膝関節症に対しては「APS」など病状や費用のバランスをみながら一人一人に合ったPRP療法を提案できればと考えています。
APS療法は、“変形性ひざ関節症”に対する最新の再生医療です。従来の薬物療法やヒアルロン酸注射などの保存療法と、人工関節手術とも全く異なる第三の治療と呼ばれています。
APSとは、Autologous Protein Solution:⾃⼰タンパク質溶液の略です。APSは、自身の血液から作成したPRP(多血小板血漿)から、抗炎症性サイトカインとよばれる炎症を抑える良いタンパク質と関節の健康に関わる成分(成長因子)を高濃度に取り出したものです。APSはPRPから精製されるため、次世代のPRPとも呼ばれています。
関節内に炎症を引き起こすタンパク質の活動を阻害することで、炎症を抑え、痛みを軽減するというメカニズムが注目されています。
従来の治療法は、軽度であれば痛み止めやヒアルロン酸注射など保存治療を行い、症状が進行して骨の変形が起こってしまった場合は、人工関節の手術を中心に手術療法を行ってきました。保存治療などで痛みが改善しない方、様々な事情で手術療法は避けたいと考える方、保存療法と手術療法の間を取り持つ、中間的位置付けとして有効な治療選択肢となります。
効果には個人差がありますが、約1週間で効果を実感し、3~6カ月後が最も効果を発揮するといわれています。1回の注入で痛みが最大24カ月間軽減されたという報告もある一方で、2~3割の人には効果が認められなかったという海外のデータもあります。
再生医療と呼ばれておりますが、人体や軟骨を再生する治療ではなく、必ず手術が避けられるわけではありません。人によっては、期待したほどの効果が得られないこともあるため、治療を受ける前には担当医とよく相談し、ご自身が納得された上で治療を受けることを推奨します。
また、がんの治療中やリウマチなどの全身性自己免疫疾患の人、感染症の疑いがある人など、医師が不適当と判断した場合は受けることが出来ません。治療後には、約半数の方に注入部位の痛みや腫れが出る場合があり、2週間程度は過度な運動を避ける必要があります。
現在当院では、下記のキットを用いたPRP療法を実施しております(Mycellsは現在準備中です)。目的に応じて使い分け、患者さんの病態とニーズに応じた最適な治療法の提案をめざします。
キット名称 | Mycells | GPS III | APS |
---|---|---|---|
特徴 | 主に血小板が含まれる。
白血球が少ない(LP-PRP) |
白血球も豊富に含まれる
(LR-PRP) |
特殊な調整により抗炎症作用高
次世代PRPと呼ばれる |
対象 | ・関節内(変性系関節症)
・関節外(筋・腱・靭帯) |
・関節外(筋・腱・靭帯) | ・関節内(変形性関節症) |
回数 | 3回
(効果により1~2回) |
原則1回
(~3回) |
原則1回 |
採血量 | 22ml | 26ml | 55ml |
費用 (税込) |
33,000円(1か所)
60,000円(2か所) |
100,000円 | 300,000円 |
いずれのキットも、精製の過程で人が操作する工程が少ないことから、安定及び一貫した精製・抽出が可能であり、細菌混入の可能性は極めて低い仕様となっております。
PRP療法は厚生労働省への届出を行った後に投与が可能であり、当院では以下のように届出を行っております。
治療後の経過観察のため、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に外来診察を受けていただきます。
治療当日の激しい運動や飲酒、マッサージなど治療部位に刺激が加わるようなことはお控えください。また、治療部位の感染を防ぐため、当日の浴槽への入浴はお控えください。
*シャワー浴は可能です。
保険適用外(自費診療)です。各種PRP療法の費用の詳細は下表をご参照ください。
キット名称 | Mycells | GPS III | APS |
---|---|---|---|
特徴 | 主に血小板が含まれる。
白血球が少ない(LP-PRP) |
白血球も豊富に含まれる
(LR-PRP) |
特殊な調整により抗炎症作用高
次世代PRPと呼ばれる |
対象 | ・関節内(変性系関節症)
・関節外(筋・腱・靭帯) |
・関節外(筋・腱・靭帯) | ・関節内(変形性関節症) |
回数 | 3回
(効果により1~2回) |
原則1回
(~3回) |
原則1回 |
採血量 | 22ml | 26ml | 55ml |
費用 (税込) |
33,000円(1か所)
60,000円(2か所) |
100,000円 | 300,000円 |
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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9:00~12:00 | |||||||
14:00~18:00 [土曜] 13:30~16:30 |